2022 年 78 巻 2 号 p. I_19-I_24
我が国では,労働生産性向上等働き方改革や資源管理等を核とした水産政策が始まっている.こうした中で,漁港・市場の管理運営の在り方が求められている.そこで本研究では,厳しい資源状況の中,20年以上前から販売業務の電子化を行っている欧州漁港・市場について,ICT活用の現状とその効果を把握し,我が国における課題を明らかにすることを目的としたものである.その結果,販売業務の電子化等ICT活用により,生産性向上や付加価値化の効果があることや漁港・市場が資源管理の拠点としての機能を有することがわかった.このことから,我が国では,販売業務の電子化の導入・普及が喫緊の課題である.また,オンライン販売の導入や漁港・市場からの情報公開・提供やワンストップ・サービスにおける課題も明らかになった.