2022 年 78 巻 2 号 p. I_289-I_294
2050年カーボンニュートラル実現を目指す一環として,カーボンニュートラルポート形成に向けた施策が展開され,IMOにおいても国際海運の脱炭素化が議論されている.一方,2020年秋以降,輸送需要の増大と新型コロナウイルス影響による能力制約により,世界中の港湾で大量のコンテナ船が沖待ちを強いられており,そのCO2排出量増が懸念される.
本研究は,我が国の東京湾の全コンテナターミナルを対象に,沖待ちを含む着岸船の航行速度を把握することにより,沖待ちによるCO2排出の増加量と,その対策の効果を推計したものである.その結果,沖待ちによる排出量増は停泊時の排出量の約15%に相当すること,入湾時刻の調整と湾内の減速航行により,排出量増の約3/4を削減出来る可能性があることが判った.