2022 年 78 巻 2 号 p. I_331-I_336
都内水上交通は,海上を移動しながら海面越しの都市群や港湾施設などの非日常的景観が享受できる等,他の交通機関にはない魅力を有している.こうした認識のもと,本研究の先行研究では,魅力的な海上景観を望むに相応しい航路指標を導出するため,昼夜の好ましい海上景観要素と評価理由からみた海上景観特性を捉えた.しかし,雨天時にも運航される水上交通の利用促進を図るためには,天候の違いによる海上景観を明らかにすべきと考える.そこで本研究では,天候の違いによる魅力的な海上景観を望むに相応しい航路指標を導出するため,晴雨天時における東京港クルーズ調査を実施し,好ましい海上景観要素(上位10要素)とその評価理由等を把握した.その結果,被験者の評価理由からみた晴雨天別の5つの海上景観特性とそれらを成り立たせる空間的特徴(視距離や視野角)を明らかにした.