2022 年 78 巻 2 号 p. I_373-I_378
近年,台風1821号や台風1915号等の強大な台風が内湾の人口密集地域に襲来し,高波による甚大な被害が発生している.そこで台風襲来時の迅速で確実な避難活動を支援するため,気象庁のアンサンブル気象予報を利用して台風予報の不確実性を考慮できる高波予測システムを開発した.本システムは簡易予測と詳細予測を組み合わせることによって,ユーザーが求める詳細情報を早期に提供することを目標とする.また,台風1915,1919号を対象に本システムの適用性を検討した.その結果,コントロールランでは把握できない高波リスクをアンサンブル予報により事前に把握できることがわかった.しかし,週間アンサンブルはコンパクトな台風を過小評価すること,ピーク直近の予測ではピークを捕捉できない可能性がある等の留意点が明らかとなった.