2022 年 78 巻 2 号 p. I_535-I_540
港湾空港に代表される埋立てによって造成された地盤は,礫分や貝殻片などの直径が大きな粒子を含んでいる.薬液改良土は,土粒子の粒径が大きいほど強度が低くなるため,このような材料に対して強度を発現させるためには,強度発現に影響を及ぼす要因を特定することが重要である.近年,液状化対策に用いられている薬液は,ホモゲル強度が従来よりもかなり低く,既往の強度発現メカニズムに関する研究成果を適用できるかは不明であったため,本研究では,一軸圧縮試験時に供試体内部に発生する間隙水圧を直接計測して強度発現要因を確認した.その結果,薬液改良土の一軸圧縮強さは,土粒子の付着力に起因する強度と発生負圧に起因する強度から構成され,土粒子の表面積,内部摩擦角および発生負圧が一軸圧縮強さに影響を及ぼすことがわかった.