2022 年 78 巻 2 号 p. I_709-I_714
博多湾では沿岸開発時の土砂確保のために海底掘削が行われた.その跡が深掘のピット状に残り,貧酸素水塊の発生源になる問題が生じたため,埋め戻しによる環境修復事業が行われている.底生生物相の回復のモニタリングとして水質観測の他に底生生物採取が行われてきたが,直上の水塊も含む生態系の回復の評価が困難であった.環境DNAメタバーコーディング調査により,小型魚や遊泳性を含む魚類相の情報や,従来法よりも多い種数が得られた.種別のハビタット情報から,河口域の海底と水塊分布や,修復箇所周辺との連続性のより細かい情報が得られた.