2022 年 78 巻 2 号 p. I_703-I_708
カブトガニが生息する山口湾ではその生息密度の把握のため毎年生息数の調査が行われている.カブトガニ幼生の生息数調査にあたっては,干潟は歩行が困難であることや,多人数を必要とすること,調査者の練度による個体発見効率の差,目視調査範囲が不安定であるという問題がある.そこで本研究は低高度のUAV撮影による干潟面の映像からカブトガニ幼生を検出することにより客観性の高い生息密度調査方法を開発することを目的とした.干潟上のカブトガニの軌跡に他の底生生物の軌跡や干潟上の反射光と異なる特徴があることを利用して高度9mのUAVによって干潟面を撮影し,軌跡の特徴量を計算し,機械学習を行うことにより干潟上のカブトガニを検出する方法を検討した.干潟上のカブトガニ幼生が判別できる可能性はあるが,まだ成績は十分とはいえず,今後の識別能力の向上が課題である.