2022 年 78 巻 2 号 p. I_751-I_756
全国約200ヶ所の主要な海水浴場には毎シーズン830万人~1,600万人が来場し,近年では700件~1,400件の迷子が発生している.海水浴場では,親と離れた子どもが水難事故にあうことも十分に考えられることから適切な対策が求められる.迷子の対策として,ランドマークを用いた経路誘導の検討などの先行研究はあるが,ランドマークが少ない海岸において,子供の視線の高さを考慮した検討は行われていない.本研究は,海水浴場における迷子対策を検討するための基礎研究として,VR実験により子供の視線の高さで目につきやすいモノや記憶に残るモノの特徴を調べた.その結果,子供と大人の視野の違いにより,視線の停留回数や停留時間に違いがみられ,子供は近距離や視線が低いオブジェクトに注目する一方で,大人は遠距離のオブジェクトを見つめる特徴がみられた.