2022 年 78 巻 2 号 p. I_841-I_846
サンゴ礫州島の形成・維持機構については,これまで現地観測や移動床実験,数値解析により検討されてきており,特定の自然条件下において集積されたサンゴ礫が干出し,サンゴ礫州島が形成されうるということが定性的に把握されている.しかし,実際のサンゴ礁海域においてこれらの条件に一致する場所は限られる.著者らは,サンゴ礫州島形成促進のための透過型礫捕捉工を提案し,2次元断面水槽を用いた移動床実験によりその効果を定性的に検証したが,現地実証には至っていない.
本研究では,西表島北方に位置するバラス島を対象に同捕捉工を試験設置し,現地実証実験を行った.その結果,透過型礫捕捉工の効果を確認するとともに,捕捉工形状を改良することにより,異なる方向に移動するサンゴ礫の捕捉効果を向上させることに成功した.また,数値計算モデルにより観測期間中の高波浪の検証解析を行い,サンゴ礫を移動させる主な外力について再現することができた.