2022 年 78 巻 2 号 p. I_847-I_852
本研究では大阪湾沿岸部の13地点の干潟を対象に水質項目,底質環境,水面と堆積物のCO2フラックスを定量化し,その関係性を明らかにすることを目的に調査を行った.大阪湾の干潟は全体的に砂質で構成されており,化学的性状から好気的な環境であった.水面におけるCO2フラックスは13地点中8地点で放出を示し,湾奥の河川の影響が強い地点でCO2は放出傾向にあった.堆積物における1日当たりのCO2フラックスは矢倉海岸と男里川を除いてCO2は放出であり,1日当たりのCO2フラックスは水面より高いことから,堆積物では有機物の分解の場としてCO2は放出されていることが推察された.以上のことから,干潟では水面からCO2は放出傾向であり,堆積物は干出することで,有機物の分解が促進されてCO2は放出していることが考えられた.