2022 年 78 巻 2 号 p. I_85-I_90
1964年以降,半世紀間にわたる人工構造物の建設に伴う海岸線の変化について,太平洋に東面し,現在は日立港や常陸那珂港が立地する,茨城県の日立港から磯崎漁港に至る長さ約12.5kmの海岸線を対象として実態論的に研究を進めた.調査区域北部の那珂海岸では,日立港の沖防波堤と常陸那珂港の東防波堤による回折効果により汀線変化が起こり,侵食域は護岸と消波工により完全に覆われた海岸となった.また,阿字ヶ浦海岸では常陸那珂港の東防波堤による回折効果により汀線の回転が起きてきていることが明らかになった.これらを基に,将来の海岸保全手法の在り方について提案した.