2022 年 78 巻 2 号 p. I_901-I_906
浸透固化処理工法で背後地盤を液状化対策した岸壁を対象に,FLIPを用いて固化処理部の地盤定数の空間的ばらつきを考慮して地震応答解析を行った.本論文の結論は,次の通りである.(1) 適合率0.56~0.96の範囲で強度の空間的不均質性を有する浸透固化処理地盤において,L2地震の加振終了時の岸壁の残留変位は,モンテカルロシミュレーション100回で十分な統計値が得られる.(2) 加振終了時の岸壁の残留水平変位と残留沈下量は,有意水準5%で対数正規分布に従う.岸壁の残留水平変位の平均値と分布幅は,適合率の減少とともに大きくなる.(3) 許容水平変位を1.5mとし,その信頼度を0.9,0.95および0.99に設定したとき,浸透固化処理地盤はそれぞれ0.62,0.63および0.67以上の適合率まで改良する必要がある.