2020 年 76 巻 2 号 p. I_101-I_108
本研究では,凍結防止剤として溶液散布された塩化カルシウムによる路面すべり摩擦係数μの低下を調べるために,密粒度アスファルト混合物とポーラスアスファルト混合物を対象に室内実験および野外実験を実施した.室内実験では,塩化カルシウム溶液を散布した路面のすべり抵抗値と塩化カルシウムを析出させた後に散水した路面のすべり抵抗値をそれぞれ測定した.その結果,塩化カルシウム溶液散布直後のμは,たとえ高濃度で散布してもいずれも0.4以上あり,湿潤状態の値と大差がなかった.一方,塩化カルシウムが路面に析出した場合,密粒度アスファルト混合物とポーラスアスファルト混合物ともにμは湿潤路面のそれより0.2程度低くなった.さらに,野外実験から塩化カルシウムの析出やそれに伴うμの低下は実際の道路でも起こり得ることを示した.