2023 年 78 巻 2 号 p. I_152-I_163
近年,地域を豊かにする道路空間構築のため,誰もが安心して快適に利用できる歩行空間の整備が求められている.本研究は,歩行空間において地上型レーザースキャナにより得られた三次元点群データをもとに,指向性を有する多重解像度解析が可能なDual-tree複素数ウェーブレット変換による路面特性評価について検討したものである.その結果,歩行空間において代表的な路面特性は,波状特性の観点から特定の波長範囲に分布し指向性を有することが明らかとなった.また,歩行空間路面の三次元点群データに対し,Dual-tree複素数ウェーブレット変換による指向性多重解像度解析を適用することで,路面の変状箇所とその範囲を明確化することが可能となり,維持修繕区間の合理的な決定につながることを示した.