2023 年 78 巻 2 号 p. I_211-I_218
予算縮減および技術者不足等の厳しい状況の下,道路管理者は維持管理の効率的な実施が求められている.本研究では,先行研究において著者らが開発したAIを用いた舗装の点検および診断システムを北海道内の広範囲に及ぶ路線に適用し,ひび割れの損傷度合いと原因を求めた.その結果,ひび割れ原因の判別が難しいケースの改善点を見出すとともに,北海道内の舗装に生じているひび割れの特徴(損傷度合いと原因)について分析した.さらに,ひび割れの損傷度合いと原因に対応した維持および修繕の工法を仮定し,調査路線に適用した場合の維持修繕費用を推計した.これにより,必要となる維持修繕費用の地域比較(ネットワークレベル)や路線内における比較(プロジェクトレベル)が可能となることを示した.