抄録
近年,中心市街地の活力低下等が問題となっている中で,町の活気を取り戻すというような事例も見られる.こうした成功事例に着目し,如何にしてその成功が導かれたのかについての一般的知見を得ることは,今後のまちづくりにおいて有益であると考えられる.その知見を得る方法として,これまでは定量的な分析を行う自然科学的な手法が多く用いられてきたが,まちづくりに関わった人々の思いを理解するためには,“物語”を解釈するという解釈学的な方法論を用いることが求められる.本研究では,まちづくりの成功事例として挙げられる埼玉県川越市を対象として,まちづくりの様々な関係者にインタビューを行う.そして,それらを通じて“物語”を構成し,その解釈によって「川越まちづくり」が成功に至った要因を論ずる.