2014 年 70 巻 2 号 p. 26-45
コミュニケーションを中心とした一連の交通政策を指すモビリティ・マネジメント(MM)は,交通問題の本質的改善のために,長期的・継続的な展開が不可欠である.我が国で取り組まれて10年以上が経過し,数多くのプロジェクトが実施されてきたが,実際にはその多くが短期間で終了している.
本研究では,MMが継続的に行われており,その効果が顕著であると評価されている都市の実態をヒアリングによって明らかにした.その結果,自治体の首長の政策的判断,MMの取組の中心に位置するキーパーソンの存在と取り組む姿勢,プラットホームの存在,関係者の「まちを良くしたい」という強い意志,そして,MMの実施戦略がMMを継続させるために必要であることが示唆された.