2020 年 76 巻 1 号 p. 43-51
設計積算ミスによる入札中止などの手続は多くの地方自治体で発生しており,これにより本来整備されるべき公共施設の整備が遅れるなど住民サービスに多大な影響を及ぼし社会問題となっている.加えて,設計積算ミスは職員のモチベーションの低下につながる.設計積算ミスの防止に対して,各地方自治体は,地方自治体内部に委員会等を設置し検討しているが,確固たる原因分析モデルや防止対策等を構築できていないのが実情である.特に,この問題を学術的に研究している事例は見受けられない.
本論文では,第一筆者の勤務している地方自治体における設計積算ミス多発事態の原因を分析し,近年において設計積算ミスが社会問題となった理由等を分析する.