2020 年 76 巻 1 号 p. 52-65
全国的な橋梁メンテナンスサイクルの進捗状況は,定期点検の1巡目を終了したが,市町村の措置が遅れている.メンテナンスサイクルは措置が完了しなければ回らないため措置の遅延は問題である.さらに,自治体職員として,筆者が受けるメンテナンス最前線の住民要望は措置の進捗である.そこで,平成28年度当初から『措置の確実な進捗』を目的として,職員が直営施工により橋を修繕する『橋梁補修DIY』を実践してきた.これは地方であっても調達できる材料や機器を用いて,自治体職員が手づくりのメンテナンスを実践する取組みであるが,このようなメンテナンスサイクルの体制構築は容易ではない.筆者が人口6万人規模の市役所の制約条件に配慮しながら,調査と分析によってどのように直営施工を実践したのかについて示す.