抄録
2007年3月25日に発生した能登半島地震(MJMA=6.9)は,能登半島の先端に位置する輪島市をはじめとして多くの家屋に被害を与えた.石川県によれば,建物被害は全壊682棟,半壊1,719棟,一部損壊26, 907棟,非住家被害4,439棟,合計33,747棟となり,震度6強を記録した震源に近い輪島市門前町の全壊率が高い.現地調査によれば,門前町の宅地では液状化による噴砂も見られることから,大きな地震動だけではなく,液状化による地盤変状も建物被害に影響を及ぼしているのではないかと考えられた.そこで,井戸による地下水位調査,ボーリング調査,スウェーデン式サウンディングなどを行い,宅地地盤特性を調査し,地盤特性と建物被害との関係を考察した.その結果,液状化等の宅地地盤の変状が全体的な基礎の被害を生じ,この基礎の被害が上部構造物に影響を及ぼしたことが明らかとなった.