抄録
災害対応管理システムは,市町村の災害対応業務を,情報共有化の観点から支援する情報システムである.災害対応管理システムは,機能の簡素化とオープンソース化により,他地域への普及・展開を可能とする設計方針に基づいて,新潟県見附市を試験フィールドとして開発された.本論文では,災害対応管理システムの開発経緯とシステムの基本的な機能について,新潟県見附市の実災害対応の事例の紹介を含めて説明している.次に,災害対応管理システムの山梨県の2市町への展開について述べている.町丁目名と公設避難所名の設定ならびにGIS表示のためのこれらの緯度,経度データ登録を行うことにより,本システムを山梨県中央市ならびに市川三郷町の災害対応管理システムとして展開するプロセスを示している.さらに,より有効な市町村の災害対応支援を可能とするため,地域住民の情報共有ツールである地域防災SNSとのシステム連携,病院のトリアージを支援するトリアージ管理システムとのシステム連携について,災害対応管理システムのシステム連携機能の開発と,これら機能の有効性を検証する評価実験を報告している.