2011 年 67 巻 1 号 p. 193-206
鋼材とコンクリートの境界面特性及びリブ形状が合成床版の疲労破壊モードに与える影響を,実験と数値解析の両面から検討した.初期付着と接触摩擦の両者が期待できる場合,初期付着の部分的な喪失によって一旦荷重が低下するが,急激な破壊には至らなかった.その後の漸増載荷によって初期付着の喪失は版全体におよび,鋼材とコンクリートとの合成作用は両者の摩擦による機構に移行して耐荷力を保持したが,鋼材の降伏に伴い終局を迎えた.破壊過程は,初期付着と接触摩擦の両者を考慮した接合要素を用いた数値解析で再現が可能となった.鋼コンクリート境界面摩擦特性と初期付着の有無,及びリブ諸元が合成床版の破壊過程に及ぼす影響を定量的に数値解析から示した.