2011 年 67 巻 1 号 p. 177-192
本研究では,鋼製橋脚の耐震性能の向上を目指し,幅方向テーパー鋼板を用いた箱型断面鋼製橋脚を新たに提案し,幅厚比パラメータおよびテーパー率をパラメータとした正負交番載荷実験,複合非線形FEM解析,ハイブリッド実験および動的複合非線形FEM解析(地震応答解析)を行い,その耐震性能を議論している.正負交番載荷実験および複合非線形FEM解析の結果,幅方向テーパーによってエネルギー吸収性能や塑性率が向上すること,幅厚比パラメータならびにテーパー率が大きいほどエネルギー吸収性能が向上することを明らかにした.ハイブリッド実験および地震応答解析により,阪神大震災クラスの地震を受けた場合,幅厚比パラメータR=0.4~0.5では,幅方向テーパーをつけることで,応答変位量が5%程度小さくなることも明らかになった.