2011 年 67 巻 3 号 p. 454-463
本論文では地震波形が得られていない自治体観測点を対象に,最大地動加速度と計測震度の地盤増幅度と微動H/Vスペクトルによって増幅スペクトルを推定する手法を提案した.まず,中部地方の地震観測点の記録を用いて,回帰分析により,最大地動加速度と計測震度の地盤増幅度,応答スペクトルの増幅スペクトルを求めた.続いて,地盤増幅度と増幅スペクトルの相関関係を調べたところ,周期1秒付近までは両者に良好な相関が見られた.周期1秒より長周期の増幅スペクトルの推定精度を向上させるために,微動H/Vスペクトルを周期をパラメータとする関数で近似させて,増幅スペクトルの推定に用いた.地盤増幅度と微動H/Vスペクトルの近似関数をパラメータとする式によって増幅スペクトルを推定したところ,周期1秒以上での推定精度が向上した.