2011 年 67 巻 3 号 p. 464-476
近年,鋼床版のデッキプレート(以下,デッキ)とUリブの溶接ルート部を起点にデッキに進展する疲労き裂が報告されている.本研究では,このような疲労き裂を対象に,デッキとUリブ溶接部における疲労寿命を,Uリブ溶接部の近傍に設定した参照ひずみによって評価することを試みた.まず,ルート部の応力に対する参照ひずみの位置に関する検討を行った.次に,実物大模型による移動輪荷重試験結果と実橋での応力測定結果を整理するとともに,FEM解析を実施して参照ひずみとルート部の応力との関係を調べた.また,これらの結果に基づき,デッキとUリブ溶接部における疲労寿命評価を行った.さらに,デッキの板厚がデッキとUリブ溶接部の疲労耐久性に与える効果を定量的に示した.