2011 年 67 巻 3 号 p. 517-529
本研究では,地震の作用を受けるLNG地下タンク躯体の耐荷機構を明らかにするため,実機タンク躯体を模擬した縮尺模型を用いて正負交番多方向水平載荷実験を行った.その結果,変位方向と平行となるウェブにおいてひび割れたコンクリートが圧縮ストラットを形成し,卓越断面力である面内せん断力に抵抗すること,最終的にはウェブ中腹部にひずみの局所化領域を形成し,応力の伝達が阻害され軟化に至ることが分かった.また,これらの現象を,材料の非線形性を考慮した3次元FEM解析によって精度良く再現できることを確認するとともに,コンクリートの主圧縮ひずみを1つの指標として変形性能を評価できることを示した.