抄録
腐食を促進する主要因である飛来塩分には海水と凍結防止剤に由来するものがある.両者共に冬期に飛来量が増加する可能性があるため,橋梁の桁への飛来塩分の供給源としてどちらがより重要なのかを,飛来塩分の絶対量から判断するのは難しい.そこで本研究では,Cl-に加えて,海水に抱負に含まれる一方で凍結防止剤には乏しいMg2+も分析し,凍結防止剤に由来する飛来塩分の影響を検討した.その結果,凍結防止剤の影響が強まるとMg2+/Cl-比が低下することが分かった.また,海塩粒子の供給と凍結防止剤の散布量が共に冬期に増える海岸近傍の橋梁において飛来塩分量とMg2+/Cl-比の変動を比較検討し,分析対象とした橋梁の冬期の飛来塩分量の増加が,主に自然由来の飛来塩分量の増加に起因していることを明らかにした.