2012 年 68 巻 3 号 p. 738-753
列車走行時の橋梁では列車質量の影響に伴い固有振動数が見かけ上低下する.しかしながら,その影響を実橋計測データから実証的に検証した事例は見当たらない.本研究では列車走行時の橋梁の固有振動数の見かけ上の低下を橋梁の実測加速度応答から評価するために,多変量自己回帰(VAR)モデルのVAR係数が時間とともに確率的に変動(Time varying)するTV-VARモデルを定式化し,さらに階層ベイズ法による未知パラメータ推計手法を構築する.数値計算事例と列車走行時の橋梁の実測加速度応答への適用により,1)提案手法が固有振動数の変化を精度よく評価できること,2)列車走行時の橋梁では実際に固有振動数が見かけ上低下すること,3)その低下量は本研究の対象橋梁で平均14%,最大20%程度であることを明らかにした.