2002 年 5 巻 4 号 p. 437-441
von Recklinghausen氏病(以下R病)に合併する自然血胸の報告は非常にまれであるが,死亡率は50%以上にのぼる。今回,著者らはショックで来院し,いったん心停止に陥ったが蘇生し血管造影で内胸動脈破裂を認め,動脈塞栓術(以下TAE)で救命した1例を経験した。来院時,緊張性気胸も疑われたが身体所見から血胸を疑い,画像診断を優先し十分な準備をしたうえで気管挿管・胸腔ドレナージ・血管造影を行ったことが救命につながったと考えられた。本邦の過去の報告では,術前血管造影が行われたものはすべて開胸術で止血できていたが,死亡例には術前血管造影が行われたものはなかった。R病の血管病変は血管壁自体の脆弱性に起因するため,血管造影自体の危険性も報告され,開胸術ではより大きな危険を伴う。これまでにはTAEのみで救命した報告はないが血管内手術の発達した今日,R病に合併する動脈破裂の治療にはTAEが第一選択と思われる。