抄録
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,日本国内で観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し,津波により多くの人命が奪われた.また,東日本の広範囲にわたり地震による被害が発生した.関東地方では,東京湾岸の埋立て地だけではなく,内陸部においても各地で液状化による被害が発生した.
今後の地震防災対策を考える場合,被害の全貌を工学的に把握する必要がある.そこで,地震被害の記録を残すことを目的に,海岸埋立て地の東京都江戸川区,千葉県浦安市,および江戸川区に隣接する内陸部の葛飾区,さらに千葉県野田市から埼玉県幸手市,久喜市,加須市,その周辺について液状化被害調査を行った.その結果,沿岸部では,比較的年代の新しい埋立て地で液状化が発生したこと,また,液状化の程度が激しい地域が広範囲にわたっていることがわかった.内陸部における液状化については,多くは,旧河道,湿地帯を造成した場所で発生したことがわかった.