抄録
空港土木施設である進入灯橋梁の耐震性能照査の際,橋梁の慣性力に加えて護岸や海底地盤の変位による影響も検討する必要がある.レベル2地震時に基礎地盤が液状化すると,護岸は海側へ数メートルオーダーで変位し,海底地盤も同程度変位することも考えられる.この時,海底地盤の変位は護岸の変位に加えて,海底地盤の地層形状によって大きく左右されることは自明である.本論文では,進入灯橋梁が設置されるケーソン式護岸前面の海底面の傾斜に着目し,傾斜が地震時の護岸および海底地盤の変位に与える影響を大型模型振動実験において確認した.その結果,基礎地盤が完全に液状化しない条件では,海底地盤の残留変位は傾斜によって2倍程度大きくなるものの,護岸天端の変位は変わらない結果を得た.