抄録
本研究は,炭素繊維シートに継目を設けて鋼部材に接着した工法の補強効果や継目の強度特性に関する基礎データを得ることを目的としたものである.まず,継目長さと継目数を試験パラメータとし,CFRPストランドシートに継目を設けて接着した鋼板の一軸引張試験を実施した.その結果,継目長さを20mm以上にすると,高降伏点鋼であるSBHS700の降伏応力に達するまで,シートの破断やはく離が発生しなかった.鋼材の降伏応力以下で終局に至った試験体の破壊形態は,継目端部の接着剤の凝集破壊に起因したき裂が継手中を進展する破壊モードとなった.さらに,破壊形態や強度に対して考察を加えるために,有限要素解析と準解析的なアプローチによる手法を用いて解析的な検討を行った.