2019 年 20 巻 2 号 p. 53-60
近年,胃内で気泡含有ゲルを形成し膨張することにより,少ない摂取カロリーで空腹感を抑制できる飲料が開発された.この飲料の空腹感抑制効果を高めるには,胃壁をより大きく,長い時間伸展させるように,大きな体積の気泡含有ゲルを形成し保持できる飲料の最適な作製条件を明らかにすることが重要である.そこで,in vitroで胃における食品の消化挙動を評価できる胃消化シミュレーターを使用し,気泡含有ゲルの体積やその保持能に影響する因子を評価した.その結果,ペクチンのエステル化度やクエン酸濃度が胃液との反応直後のゲル体積に影響することがわかった.また,アミド化度やゲル物性がゲル体積の保持能に影響することがわかった.気泡含有ゲルの体積を最大化させ体積保持能を高めるためには,ペクチンのエステル化度やアミド化度,製剤中のクエン酸濃度を考慮する必要がある.