抄録
土木構造物の維持管理において,ヘルスモニタリングへの期待が高まっている.モニタリングシステムの実用化のためには,手法の開発だけでなく,実装可能なシステムを構築する必要がある.しかし,モニタリングシステムはシーズベースで開発されることが多く,センサメーカーにとってどのようなセンサをユーザーが期待しているかを把握するのは困難な状況にある.本研究では,システムを実装する上で,評価が必要な項目を,鉄道橋の橋脚で計測した実際のモニタリングデータを利用して整理し,その特徴を明らかにした.また,評価項目に関して,想定する外力や算出する指標ごとに精度や耐久性について具体的な性能例を示した.性能を明示することで,ユーザーとメーカーが一体となった高付加価値で信頼性の高いシステム開発が期待される.