抄録
兵庫県南部地震では鋼製橋脚隅角部に予期せぬ脆性破壊が発生した.地震時の動的な繰返し塑性変形下では,変形に伴う温度上昇が脆性破壊発生挙動に影響を及ぼす可能性がある.本研究では,標準的な形状・寸法を有する鋼製橋脚隅角部を対象とし,地震応答解析と熱弾塑性解析を組み合わせ地震時の局部的な温度上昇レベルを解析的に検討し,局部的には30℃を超えるような大きな温度上昇が隅角部に発生し得ることを確認した.また,動的負荷の影響として温度上昇とひずみ速度が鋼材の破壊靭性に与える影響を評価したところ,その影響はどの段階で破壊が起こるかによって異なるが,温度上昇の影響がひずみ速度の影響を上回り脆性破壊を抑制する効果を及ぼす因子となり得ることが示された.