2013 年 69 巻 3 号 p. 527-542
本研究ではシミュレーションモデルに実測データを取り込み,モデルパラメータを自動的に修正する逐次データ同化を利用することで,列車走行時の橋梁で計測された加速度応答から変位応答を推計する方法論を提案する.具体的には動的な有限要素解析を逐次データ同化手法の1つである融合粒子フィルタの枠組みに組み込むことで,加速度応答を取り込みながらシミュレーションモデルとその出力結果を逐次修正する方法論を構築した.また,RC単純桁橋とRCラーメン高架橋を対象とした数値計算,および実橋での加速度応答計測への適用を通じて提案手法の有効性を検証した.その結果,モード減衰比の推計精度に課題が残るものの,列車走行時の変位応答はいずれの橋梁でも精度よく推計できることを確認した.