2013 年 69 巻 3 号 p. 516-526
構造物の変位応答は性能を知る上でよく利用されているが,計測には固定点が必要なため,道路や河川上では利用が困難である.著者らは,不規則振動理論を用いて,慣性計測である加速度応答から,微積分によらずに代数的に,変位応答の統計値を導出する方法を提案している.その方法では,高振動数成分を多く含まない地震応答や,風荷重や常時微動といったランダム応答が対象である.それに対して,列車荷重等の連行する荷重を対象とした場合は,静的な載荷によるものと,走行することによって生じる動的な振動が混在するため,構造物固有の振動特性だけでなく,周期的な外力の特性を考慮する必要がある.本研究では,列車荷重の特性を考慮し,加速度応答から最大変位を推定する方法の基礎理論を提案し,シミュレーションや実測結果から有効性を示した.