2013 年 69 巻 4 号 p. I_20-I_30
津波を模擬した段波の作用に伴う橋桁の挙動を3次元連成数値計算モデルにより解析し,固定した桁に作用する津波力の発生機構を考究するとともに,同モデルの再現性を津波力の観点から検討した.その結果,桁に作用する鉛直力や橋軸回りのモーメントが減少し最小値に達してから,わずかに増加するまでの位相については,桁の下側に生じる渦とそれに伴う圧力の低下を適切に評価できたことから,同モデルにより桁に作用する津波力を概ね再現できることを確認した.次に,桁を移動可能なものに取り替えた数値実験を実施し,桁の重量を大きくしたり下向きの鉛直力を増加させたりして静止摩擦力を増加させることによって,またその静止摩擦力を上回らないように水平力の増加を抑えることによって,津波の作用に伴う桁の移動を抑えられる可能性を明らかにした.