抄録
従来より航空重力探査用センサーには小型で高い感度を持つフォースバランス型のセンサーが採用された例があり,成果を挙げている.しかし,航空機のようなキャリアの振動は非常に大きく,これを避けるために大掛かりな姿勢制御や振動制御のためのシステムを必要としていた.重力観測システムを小型化するためにはこれらの制御システムを用いることなくセンサーの出力から後処理で重力変化を抽出できるようなシステムであることが望まれる.その際,センサーは重力の微細な変化に追随可能な高い感度と分解能,キャリアの振動によって飽和しない広大なダイナミックレンジという互いに相反する性能を同時に満足しなくてはならない.しかし,従来のアナログ方式のサーボ回路を有するセンサーは,サーボ回路の自己ノイズのためにこの要求を満足することが難しい.そこで,デジタル処理によってサーボ回路を制御することでアナログ回路を簡略化し,広いダイナミックレンジと高い分解能を同時に満足するこれまでにない新しいセンサーを開発した.最初に制作した試作品は短周期成分の波によって出力波形が大きく歪んでしまうという問題を抱えていることが明らかとなった.そこで,これに大幅な改良を加え,周波数帯域を分割して制御を行うことで,出力値から短周期成分の影響を除去することに成功した.