2013 年 69 巻 4 号 p. I_661-I_677
複数の破壊モードをもつ土木構造物を対象とした地震時フラジリティー評価において「いずれかの破壊が起こる確率」は,それぞれの破壊モードに対して個別に評価した損傷確率よりは大きくなると考えられる.本論文では,複数の破壊モード間の確率変数の相関を考慮した損傷確率の評価方法として,1つの確率変数による応答と耐力の確率密度分布の畳込積分で評価が可能となる方法を提案する.提案手法を,曲げおよびせん断の2つの破壊モードをもつ地中構造物の設定モデルに対して適用・評価した結果,本提案手法による損傷確率は,曲げ破壊およびせん断破壊それぞれの単独の損傷確率よりは大きく,2つの破壊モードを独立事象とした場合の和事象確率よりは小さくなる,ということが確認された.