抄録
2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の発生を受け,南海トラフにおいても,従来より規模の大きいMw9.0程度の巨大地震を想定し,強震動評価が行われるようになってきた.その場合に用いられる震源モデルは,既往の強震記録を通じて,巨大地震への適用性が検証されたものでなければならない.本研究では,震源モデルとして,東北地方太平洋沖地震など既往の巨大地震への高い適用性を示すSPGAモデルを用い,南海トラフの地震(Mw9.0)に対する強震動の評価を行った.その際,事前の予測が困難なSPGAの位置については,極めて多くのケースを考慮できるよう計算上の工夫を行った.その結果,SPGAの中でも特に厳しい地震動を生じるものが対象地点に近い場合には,従来の設計で想定されている地震動よりもはるかに強い地震動となること等がわかった.