2013 年 69 巻 4 号 p. I_919-I_931
本研究は北海道釧路市を対象として,既往の津波災害ならびに 2012 年に公表された最大の想定津波について纏めるとともに,今後の減災対策の構築に向け基礎的な検討を行ったものである.釧路市では明治期以降は人的被害を伴う津波災害は報告されていないものの,それ以前には大規模な津波が発生した可能性がある.想定される最大津波に対して,既存の建築物や道路施設を緊急で一時的な避難場所として用いることについて現地調査を踏まえた検討を行った.その結果,建物への一時的な避難や自動車による道路施設への避難を効果的に行えば,人的被害を防止することはおおむね可能と思われる結果が得られた.