抄録
近年,部材の簡素化,構造の合理化を図った鋼橋の普及により,高力ボルト摩擦接合継手は大型化し,ボルトが多列化する傾向にある.本研究では,接触面に無機ジンクリッチペイントを塗装した高力ボルト摩擦接合継手を対象としてすべり耐力試験を行い,母板厚やボルト列数等の構造諸元が,すべり係数に与える影響について検討した.母板厚を38,50,75mmと変化させ,ボルト列数を3,8,12列とした試験体を系統立てて試験した結果,いずれの試験体もすべり係数は0.4を上回る結果となった.ただし,列数が増加するにつれて母板と連結板間のずれ挙動に相違が見られること,母板厚75mmの場合の8列と12列の試験体を比較した場合,すべり係数(平均値)が約7%低下することが確認された.