抄録
橋梁構造に多数用いられているゴム支承の経年劣化による損傷が近年観察されている.このような損傷がゴム支承および構造全体の性能に与える影響は明らかとなっていない.十数年間使用されてきたゴム支承(LRB)の中から著しい経年劣化が見られたものを実橋から取り出し載荷実験を行った結果,ゴム支承の経年劣化による剛性の増加と減衰性能の大幅な低下が生じていることが判明している.本論文では,劣化ゴム支承の復元力特性をモデル化して組み込んだ構造モデルを用いた地震応答解析を行うとともに,多数の地震動波形を用いた漸増動的解析(IDA)を実施し,得られたIDA曲線およびフラジリティカーブに基づきゴム支承の経年劣化が橋梁構造の耐震性能に与える影響の評価を行った.