抄録
断層およびその周辺におけるトンネル等の被害事例が報告されている一方で,断層変位が地中構造物に及ぼす影響について,解析的にパラメトリックな検討がなされている例は少ない.本論文では,円形断面の地中構造物を対象とし,地盤-構造物一体3次元解析により,断層角度・変位角度ならびに地盤と構造物の剛性比等を変動させたパラメータスタディを実施し,断層変位の諸元が地中構造物の挙動に与える影響について検討を行った.検討の結果,正断層側・逆断層側に角度がつくに従い,それぞれ構造物長手方向に引張力・圧縮力が卓越し,その最大値は45°で緩やかなピークとなること等がわかった.