抄録
本報では,コンクリート内部の高アルカリ環境下における接着系あと施工アンカーの劣化挙動と,その試験評価方法について検討した結果を報告する.ACI 355.4-11を参考に,水酸化カリウム水溶液への浸せきによる接着剤の力学特性の変化を,アンカーのスライス試験片の押抜試験により評価した.また,浸せき前後のアンカー接着剤について赤外線分光分析を行い,その化学構造の変化を調べた.その結果,40℃で4000時間浸せきした場合においても,接着強さの明確な低下は認められなかった.一方,接着剤の樹脂成分である不飽和ポリエステルは,アルカリによる加水分解が進行しつつあることが明らかとなった.加水分解の程度は環境液の温度が高い方が大きく,また,浸せき時間が長くなるにつれ,接着剤表面から内部へ徐々に進行する挙動を示した.