2017 年 73 巻 1 号 p. 232-247
鋼I桁橋の腐食は桁端部で多く発生しており,腐食した桁端部の残存耐荷力を評価した研究はこれまで数多く行われている.しかし,桁端部の腐食が橋梁全体の耐荷性能や地震時の挙動に及ぼす影響は明確ではない.本研究では,桁端部が腐食した場合を想定し,全橋FEMモデルを用いて鉛直方向および水平方向の橋梁システムとしての耐荷性能について検討した.その結果,複数ある主桁のうち一部の主桁の桁端部が腐食したケースでは,健全な主桁の桁端部が腐食した主桁の桁端部を補うように荷重分担が変化する傾向が見られ,橋梁システムとしての最大耐力が腐食した主桁の桁端部の最大耐力を大きく上回ることを確認した.