本論文は,波形鋼板ウェブ断面の残留応力を実測し,平鋼板と比較して考察したものである.フランジ無しのウェブ部材と上下フランジを溶接した部材を6体ずつ製作し,応力開放法により残留応力を実測した.波形の形状は台形とし,断面の波高とパネル幅の組合せを変化させた.測定結果から,フランジを溶接しない波形鋼板ウェブ断面の残留応力はプレス加工の影響を受けるため一様な分布形ではないが,降伏点応力の10%以内で変化する.一方,フランジを溶接した断面の残留応力分布は,ウェブ上下縁からウェブ高の20%程度の範囲で急激に変化するが,ウェブ内部では降伏点応力の2%程度の一様な引張応力である.波形鋼板ウェブの残留応力分布は,フランジとの溶接時にウェブが主桁軸方向に伸縮するため,平鋼板の場合と比較して相異することを明かにした.