2017 年 73 巻 1 号 p. 288-293
積雪重量は,構造設計上の雪荷重や除雪・雪下ろし等のリスクマネジメントの基礎となる情報である.また,融雪水推定や,高精度の重力測定など幅広い分野で課題となっている.反面,その直接計測は一般に困難で高費用であることから,リスクマネジメント上は容易かつ多様な方法で計測可能な積雪深が用いられることが多い.しかし,雪質によって単位重量が変化するため,積雪深のみに依存したリスクマネジメントには限界があり,積雪による構造物の崩壊事例が後を絶たない.本研究では,積雪深と積雪重量間の履歴関係を明らかにしてモデル化し,積雪深の履歴情報からリアルタイムに積雪重量を推定する方法を構築した.さらに,防災科学技術研究所において実施している積雪重量の長期モニタリングデータを利用して検証を行い,運用についての検討を行った.