2017 年 73 巻 4 号 p. I_225-I_235
2016年熊本地震は,震度7を観測する大きな地震が2度発生するとともに,震度6弱以上を観測した地震が7回発生するなど,過去の地震に比べて強い地震動が繰り返し発生している特徴がある.これら地震により,熊本県だけでなく大分県など広範囲にわたって,強震動に加え,地盤変状による被害も混在して発生している.熊本地震による被害を理解するにあたり,2度の大きな地震,すなわち,前震による被害を踏まえたうえで本震による被害を検討することが望ましいが,前震直後の被害情報が極めて少なく,この重要な情報の欠落が,被災メカニズムの推定を困難とさせている.本論は熊本地震による橋梁被害を整理するとともに,前震直後にも被害調査を行った木山川橋を対象に,本震前後での被害の変化に基づく被害メカニズムを推定するものである.